知ろう!ひざの痛みの正体

知っているようで、実は知らない

ひざの痛み正体知ろう

ひざ関節の痛みを虫眼鏡で調べるイラスト

ひざの痛みには、「炎症」と「修復力の低下」が深く関わっています。

治療の選択肢が広がったいまだからこそまずは、ひざの中で何が起きているのか、知ることから始めましょう。

体の中の”火事”、それが「炎症」

炎症とは、体が傷や刺激を受けたときに起こる防御反応のこと。患部に免疫細胞などが集まることで、痛みや腫れが生じます。ひざにおいては、軟骨や半月板などの損傷によって、滑膜(かつまく)に炎症が起こる傾向があります。

ひざの中で起こる炎症のしくみ

軟骨の摩耗、破片の滑膜刺激、滑膜炎による炎症性物質の増加を示したひざ関節のイラスト
  1. 負荷によって軟骨が摩耗し、削り取られる
  2. 軟骨の破片が、ひざの内側を覆う滑膜 に接触し、刺激となる
  3. 滑膜に炎症が起き(滑膜炎)、関節液が過剰に分泌されて 炎症性物質が増加する

石島旨章他.変形性膝関節症の疼痛と関連する病態.リウマチ科2016; 56: 632-640. を参考に作成※イラストはイメージです

”消火活動”を支える「幹細胞(かんさいぼう)

炎症は、体の中のさまざまな細胞が連携することで鎮まります。なかでも、重要な役割を担っているのが「幹細胞」です。周囲の細胞にメッセージを送り、それぞれの細胞の働きを後押しすることで、修復に必要な環境を整えます。

幹細胞が周囲の細胞に働きかける

幹細胞が周囲の細胞に働きかけ、免疫調節と組織修復の促進を行うしくみを示した図

こうした働きこそが、人間の体に元から備わっている「修復力」です。このしくみが正常に機能することで、多くの場合、炎症は自然におさまっていきます。

ひざの中の世界を のぞいてみよう

幹細胞が減ると、修復力も弱まる

しかし、その修復力は年齢とともに低下します。要因は、加齢に伴う幹細胞の減少にあります。10代と比べると、50代では約4分の1。80代では約20分の1にまで減少することがわかっています。とりわけひざは修復力が働きにくい部位のため、症状としてあらわれやすいのです。

幹細胞の数は、加齢とともに減少

10代では幹細胞が多く、50代では約4分の1、80代では約20分の1に減少する様子を示した図

え、こんなに 減っちゃうの…?

え、こんなに減っちゃうの…?

”消火”されずに燃え続ける「慢性炎症」

加齢とともに起こる、もうひとつの変化が「老化細胞」の蓄積です。本来は自然に除去されるはずの役目を終えた細胞が、体内に残りやすくなるのです。

除去されずに残った老化細胞は、炎症を引き起こす物質を分泌します。修復力が弱まった体に、その炎症を食い止める力はなく、こうして炎症は慢性化していくのです。

居座った老化細胞が、炎症性物質をまき散らす

老化細胞が炎症の火を燃やし、幹細胞が水をかけて鎮めようとする様子を示したイラスト

炎症が、悪循環を加速させる

ひざの炎症が続くと痛みをかばうような歩き方になり、関節への負荷が偏っていきます。その積み重ねがひざの変形につながり、変形が進むほど損傷箇所も増え、さらに炎症が起こりやすくなります。この「炎症と変形の悪循環」によって進行していくのが、「変形性ひざ関節症」です。

炎症と変形の悪循環

炎症と変形が互いに悪化し合う悪循環を示したイラスト。かばり歩きで変形が進み、変形が進むとさらに炎症が起きる 正常なひざからグレード1〜4まで、変形性ひざ関節症の進行と炎症の程度を示したレントゲン比較図

Kellgren-Lawrenceに準じた変形性ひざ関節症の分類

症状の程度

動き始めや立ち上がる時に痛む

ひざがこわばる

階段の昇降で痛む

ひざに水がたまる

正座がしにくい

じっとしていても痛む

曲げ伸ばしが困難

歩行困難

放置すると 症状がじわじわ 進行してしまうんだ

変形性ひざ関節症の治療のカギは、「炎症と変形の悪循環」を断ち切ること。

そのためには、根本にある「炎症」と「修復力の低下」に直接アプローチすることが重要です。

近年、まさにそこに着目した新しい治療の選択肢が生まれています。

どのような治療法があるか見てみる